オーストラリア北東部クイーンズランド州の世界最大級のサンゴ礁・グレートバリアリーフで、2025年12月9日夜、サンゴの大規模一斉産卵がピークを迎えました。海中には卵と精子のつまった無数の小さな粒が舞い上がり、ダイバーの視界が一時的に失われるほどで、「ピンク色の雪景色」と表現される光景が広がったと報告されています。
産卵は、ケアンズ沖のモアリーフなど複数地点で観察され、大シャコ貝や巻貝類、軟体動物も活発に行動するなど、海中全体が繁殖行動で満ちた一夜になりました。サンゴは満月、水温、日照などを手掛かりに、年1回、春から初夏に卵と精子を一斉放出します。沿岸と外洋、種の違いによる「生物時計」のずれにより、グレートバリアリーフでは11月と12月に二度の産卵ピークが生じる年があり、今年も北部・中部と南部で時期が分かれました。
モアリーフ周辺では、連邦政府の保全事業の一環として、海洋生物学チームが週次の生物多様性調査と長期モニタリングを実施中です。専門家は、今回のような広範囲の産卵はリーフが依然として健康で回復力を保っている証拠としつつ、海水温上昇など気候変動はなお最大の脅威だと指摘します。今後も夏季前調査などを通じてデータを蓄積し、熱波や環境ストレスに対する早期対応が求められています。観光客が参加できる保全プログラムも拡充しており、「見る観光」から「守る観光」への転換が、リーフの未来を左右しそうです。
【プログラム情報】
Reef Magic Reef Recovery(ケアンズ沖のサンゴ再生活動体験)
Be a Marine Bio(Passions of Paradiseの海洋生物学者体験ツアー)
Eye on the Reef(一般参加型観察アプリ)
Monsoon Aquaticsツアー(バンダバーグの陸上サンゴ繁殖施設見学)
ヘロン島/オーフィアス島/リザード島の研究施設見学エコツアー
source: PR TIMES
